21世紀型猫背 猫背から始まる疾患1 顎関節症 逆流性食道炎
21世紀型猫背とは、従来の縦の背骨ラインの弯曲と、スマホPC長時間生活からの横の肩甲骨ラインの弯曲からなる状態を示します。子供から全世代で増えています。
21世紀型猫背に気づかずに慢性化すると、首肩のコリや痛み、睡眠障害以外にもなる疾患がいくつかあります。まずは顎関節症。顎関節にある下顎は宙に浮いている骨で首にある筋肉群によって引っ張られることが良くあります。実際、顎関節症の原因の半分は頚椎のズレであることが臨床上感じています。頚椎のズレを整えるだけで顎関節に起こる痛みや開口障害は消失することが多く診られます。首の前方変位として頭を下げた状態で口は大きく開くことはできません。やはり上を向いた状態にしないと口は大きく開かないのです。我々治療家は首の向きを恣意的に上に向かせることで開口障害を直しているとも言えます。
次に逆流性食道炎です。著書を作る際も編集者から「どんな内臓疾患が最も起きりやすいですか?」と問われ「逆流性食道炎です」と即答した覚えがあります。理屈は簡単で猫背状態になると胃が肋骨直下でへこんでしまい胃を圧迫するからです。近年、逆流性食道炎は国民の1/3いるとも言われ、胃酸を減らす薬を飲んでいる方もとても多くなっています。胃酸がたくさん出る理由は色々ありますが、猫背姿勢がその大きな一つであることは間違いないと思っています。試しに椅子に座ってモノを食べ終えている状態とモノを食べ終えて立っている状態ではどちらの方が胃が苦しいでしょうか?食後すぐ立つことがマナーとしては悪いかもしれませんが、食後すぐ立っていた方が胃の圧迫感は少ないはずです。肋骨と肋骨のない部位の圧力差がどうしても胃を圧迫してしまうことになるからです。逆流性食道炎の方は食後すぐに横になる癖のある方が起きやすいと言われますが、食後軽く立って背伸びでもしてもらうと、それだけで楽になります。