頓智のようですが、「食いしばりは治らない」をまずは認めることが食いしばりを治す方法です。そんなこと書くとこの記事を読むのを止めそうですが、しかしそれが事実です。結論を先に書くと「食いしばりは半分になると体にとても良い」「食いしばりゼロになると体に悪い」なのです。食いしばりがない人より食いしばりがある人の方が実はストレス耐性が強いのです。
なぜ、食いしばりは必要なのか?
もし熱い時に汗が出なかったら? もし痛い時に緊張しなかったら? もし疲れた時に眠れなかったら? それと同じぐらい食いしばりすることは生命維持に必要なことだとしたら・・・。
イヌや鳥がいつもガリガリ硬いものを噛んでいるのを御存じでしょうか?
あれはストレス発散でしている行為です。人間にとっても顎の筋肉とは人体中で最も強い強い箇所のひとつであり、そう簡単に壊れる場所ではないのですが、わざわざその個所を使って人はストレス発散をしているのです。硬いスルメをかじる、煎餅を食べる、おしゃべりをする、たくさん食べる、など動物は「噛む」ことで快楽を得てストレス発散を無意識にしているのです。
そうは言っても辛い食いしばり。「朝起きると寝た気がしない」の大半の原因はこの食いしばりです。
もっと眠るよりも、人体は「寝る、食べ、動く」の3原則のバランスで成り立っています。この3分野が正比例していると健康的にいられるのです。多くの方は運動不足、食事過多になっているので、睡眠に不具合が出るのです。運動を増やさないなら短時間睡眠、少食を心掛けると食いしばりは減っていきます。運動を増やすなら食事も増やしてください。すると睡眠の質が上がっていきます。
運動に関してベストなものは「発散系」の運動です。一番い良いのは嫌いな人を思い出しながらバッティングセンターに行って打ち込んでくることです。ボールを使う、そのボールを打つのがベストです。卓球とかもいいですね。ゲームセンターでパンチするのも良いでしょう。
私は運動もしない、けど食いしばりを治したいという患者さんと日々向き合っています。私の食いしばり施術はバランス調整をし全身の筋緊張をなくし、各関節のアライメントを整えます。それだけで全身の脱力ができまるのですが、その上で咬筋、側頭筋(噛むための筋肉)にハリを打ちます。特に咬筋発達の左右差があったり、咬筋内にもアンバランスがあるので、そこにハリを打つことで筋弛緩を狙います。1回で「なんか違う」「よく寝れるようになった」という方もいれば、複数回施術をしていかなければならない患者さんもいますが、回数を重ねるとドンドン咬筋の張りがなくなることはわかっています。
しかし、患者さんには何度も「食いしばり指数を半分にすればいいだけですからね」と伝える必要があります。どうしても余裕がなくなると「食いしばりをなくしたい、ゼロにしたい」と考えがちですが、半分になるだけで日常食いしばりストレスは感じなくなります。仮にゼロにすれば胃潰瘍や狭心症などのもっと弱い臓器へのダメージが与えられてしまうのです。
人体最強の顎でストレス緩衝してもらいましょう。